屈斜路湖の山神と摩周の神の争い
どんな伝承か
屈斜路湖の奥に、根を広く張り雲を突くほど丈の高いトヱトコ山神がいた。勢いに任せて乱暴を働くので、湖の水下のピンネ山神が神々とアイヌのために果たし合いを申し込み、六日六夜、大地が裂け山が揺れる争いになった。ピンネ山神の投げた槍はトヱトコ山神の胴腹を貫き、投げ返された槍はピンネ山神の横顔をそぎ、遠く摩周湖まで飛んで摩周岳の神の足に刺さった。乱暴者は倒れたが、傷の癒えない摩周の神は東の空へ飛び、国後を経て択捉の高山の北側へ移り住んだ。釧路や阿寒の者が千島へ渡ると降る小雨は、その故郷を恋う涙雨だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第1巻』所収の「文化叙事伝説」48話(北海道・青森)を収める。各話は伝承地を市町村〜字レベルまで明記し、例話・類話・文献を備える。