十二人の子を産んだ山の神と水木
どんな伝承か
昔、十二月十二日の晩、大吹雪の中を美しい女が七人組のマタギ小屋を訪れ、泊めてほしいと乞うた。シカリは山小屋に女が来たことを怒って打擲し、同情した又鬼にも、お前も打ち殺すと喚いた。女を見送った男の前で、女は一瞬のうちに飛び去った。女は別の小屋に行って哀願し、そこのシカリは気の毒がって自分の着物を脱いで着せてやる。女は水木の枝を敷いてほしいと頼み、十二人の子を産んで一週間滞在した。子を吹いて飛ばし、恵みを約束して去った女は山の神であり、以後その組は獲物に恵まれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。