夢に見た山百合の根の黄金
どんな伝承か
昔、気仙の稲子沢のある者が、ある年の正月の夢に、ある館の跡に三十三の花をつけた山百合があり、その根を掘ってみろ、宝物が埋まっていると告げられた。男は妻を連れて旅に出て、胆沢の郡の生城寺館に登ってみると、雪の季節だというのに、夢に見たのと寸分違わぬ三十三の山百合の花が咲いていた。夫婦がその根を掘ると、黄金の玉、あるいは黄金の入った壺が七つ出てきて、それから長者になった。子孫は代々気仙稲子沢長者と呼ばれ、鈴木を姓としたと伝える。
原典より
むかし気仙稲子沢の某が、ある年の正月の夢に、ある館の跡に三十三の花をつけた山百合があるのを見、その根を掘ってみろ、宝物が埋っている、と告げられ、妻をつれて旅に出た。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。