戸棚を開ける猫と泡になった南瓜
どんな伝承か
本吉町に伝わる話。トンジンサンと呼ばれた越中の薬売りが、いつもの常宿に泊まると、その家の者が、戸棚に御馳走を入れておくと誰かに食べられてしまうとこぼした。薬売りが隣の間で寝たふりをして様子をうかがっていると、その家の猫が両手で戸を開けて中の物を食べ、きちんと戸を閉めて去っていった。翌朝そのことを主人に告げると、主人は猫を殺して裏山に捨てた。翌年また立ち寄ると、季節でもないのに南瓜を出してくれる。ところがその南瓜は、しばらくすると泡になってしまった。不思議に思って採れた場所を尋ねると、猫を捨てたあたりだという。掘り返してみると、猫の死骸の目から蔓が伸びていた。猫は死んでも祟るのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。