足半を返せと迫る大きな手
どんな伝承か
新庄市真柄の権兵衛山は、いまは一帯が杉林となっているが、かつては蔵岡山まで続く大森林で、ひどく寂しい場所だったという。数代前の主人に宗兵衛という力の強い剛胆な男がいた。あるとき山深くへ入ると、人間のものとは思えない大きな足半が片方だけ落ちている。山姥のものだろうと拾って帰り、その夜は何事もなかったが、翌朝、外から「宗兵衛、昨日わたしの足半を拾ってきたろう、あるなら返せ」と呼ぶ声がした。高桟間を開けてその上に置くと、手が伸びてきて取り、「これからは落ちていても持ってくるな。わたしの後ろを見るなよ」と恐ろしい声で怒鳴られた。外から高桟間までは八尺はあり、そこへ手が届くならよほど大きな山姥だろうと噂したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第3巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全65話(山形・福島・新潟)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。