石の箱に封じられ磐梯明神となる
どんな伝承か
昔、会津の盆地がまだ芦の谷地であった頃、手長、足長という者が棲んでいた。時々嵐を起こし、雨を呼んで作物の実入りを妨げるので、人々から怨まれ憎まれていた。諸国行脚の途次に会津へ立ち寄った弘法大師がその狼藉を知り、棲み家を訪ねて、大きくなれるかと問うた。手長足長がみるみる天に届くほど大きくなって見せると、大師は、それなら小さくもなれるだろう、俺の掌に乗ってみよという。小さくなって掌に乗ったところを、かねて用意しておいた石の箱に入れ、石の蓋をして呪文で堅く封じた。そして、これからは神として磐梯の山に祀るから、罪滅ぼしに世のため人のため尽くせと言い、磐梯山頂に埋めて磐梯明神として祀ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。