大沼の蛇を父とする五十嵐小豊治
どんな伝承か
南蒲原郡五十嵐荘飯田の山入にある古城跡は、鎌倉将軍に仕えた五十嵐小豊治以来の居城だという。同じ荘の笹堀村、山入一ツ女という所には熊沼氏という旧家があり、その家に次の伝えがある。保元平治のころ、乱を避けた貴族の姫が宝器を携えてこの地に住みついた。夜ごと通う美少年が住まいを明かさないので、姫は苧玉の糸をつけた針を襟に刺して跡を追い、三十余町の山奥、夜留り川の水源の大沼に至る。男は沼に棲む蛇で、人と契って天神の怒りに触れ今日で命が終わると告げ、蛇の姿を現して沼へ消えた。姫の産んだ子が五十嵐小豊治で、のち頼朝に仕え飯田の山入に城を築いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。