三百年若いままだった高津家の娘
どんな伝承か
昔、野積浜に高津某という豪家があり、美しい娘がいた。十七で町の大庄屋に嫁いだが、十年、二十年たっても齢を取らない。三十年目に夫が死んでも容色は娘のころのままで、再婚してもまた夫が老いて死ぬ。それを繰り返すうちに三百年が過ぎた。本人も悲しくなって髪を落として尼となり、諸国巡礼の旅に出て、若狭国小浜で八百歳になり、海に身を投げて命を絶った。小浜の人々はその死を哀れみ、木像を作って祀り、空印寺の境内に墓を建てたという。齢を取らなかったのは、娘のころ高津家の先祖が弥彦大神から授かった人魚をこっそり食べたためだと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。