腕が落ちた古津のカイナ池
どんな伝承か
昔、新津の近くの古津村に、弥三郎という人が母親と住んでいた。ある日、近くの池へ釣りに出ると魚がよく掛かり、暗くなるのも忘れて糸を垂れていた。すると闇の中から手が伸びて釣った魚を奪おうとしたので、驚いた弥三郎が振り向きざま大鎌を薙ぐと、腕が池へ落ちた。よく見れば手を切った相手は母親で、母はすさまじい形相で叫び、鬼の姿になって弥彦山へ飛び去った。以来この池をカイナ池と呼ぶ。鬼になった母は弥三郎ババと呼ばれ、弥彦山の鳥や獣を食い尽くすと里へ下り、五つになる子をさらって食べたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。