駄栗毛左京が斬った鬼女の腕
どんな伝承か
駄栗毛左京は主人の言いつけで沢根から河原田へ使いに出た。八月十三日のこと、用を済ませて戻る道で真野湾に日が沈み、沢根まで来ると空がにわかに曇って風が出る。諏訪社の森近くで雷が鳴り稲妻が走り、何者かが馬に落ちかかって動かさない。左京が名刀備前一字助宗を抜いて後ろざまに斬ると手応えがあり、一丈余りの鬼女が黒雲に乗って逃げた。馬には針のような毛の生えた血まみれの腕が残る。のちに雨の夜、老女が訪れて越後弥彦の弥三郎の母と名乗り、非を悔いて腕を返してもらった。以来佐渡に姿を見せなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。