軍艦の探海灯を大怪物と誤る
どんな伝承か
日露戦争のとき、佐渡では、軍艦が海を照らす探海灯を放ったのに人々が驚き、得体の知れない大怪物が現れたと思い違いをしたという。著者は、出雲崎の灯明台を龍灯と見誤った話と並べてこれを挙げ、こうした取り違えは数えきれないほどあると述べる。そして、見聞を広げ経験を重ねれば、何もかもを妖怪の仕業にしなくても、ほかにしかるべき原因があると考えられるはずだと説いている。
原典より
佐渡にて日露戦役の時、軍艦より探海灯を放ちたるに驚かされて、大怪物と誤りしの類、実に枚挙に暇ないほどである。—— 迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年))
『迷信の諸相・宗教の真相』は、井上円了が大正五年に刊行した『迷信と宗教』を、新しい題を付け現代の表記に改めて翻刻した本である。琉球・伊豆七島・壱岐対馬から北海道まで、著者が各地を巡回して見聞した犬神・人狐・河童・狐憑きなどの迷信と、怪火・天狗・幽霊・鬼門・卜筮・家相・禁厭など全国共通の迷信を挙げる。迷信の利害と原因を論じたのち宗教の真相を説き、余論に妖怪学の短編、附録に幽霊鬼神と霊魂不滅をめぐる論を収める。