ささやいて曳いた杉で架けた私語橋
どんな伝承か
近衛の帝の御代、内裏に妖しいことが続いた。陰陽師に占わせると陸奥国小室郷の杉の精のしわざと出たので、安井源太重宗が勅を奉じて下向した。行ってみると数郡を蔽うほどの巨杉があり、終日斧を入れても夜のうちに元通りになる。人夫を尽くして切り倒したが、今度は木が重くて動かない。再び占うと樹霊と婦人が別れを惜しむためという。郷を尋ねると、夜ごと通う夫があって二児をもうけたが近ごろ来ないと嘆く寡婦がいた。事情を告げて頼むと、女が木にささやきかけ、巨木は軽々と動いたという。この木で架けたのが私語橋で、橋は人のささやくような声を立て、近づくと止んだと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第3巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全65話(山形・福島・新潟)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。