身代わりの蟹を沼に放す習わし
どんな伝承か
荒口では、赤堀の道元の娘は腋の下に鱗のようなものがあったと語る。十六の年に赤城へ行きたいと言うので家の者が駕籠で連れて行き、小沼の端まで来たとき、水が飲みたいと言って駕籠を降り、すうと沼へ入っていった。沼の中ほどで頭をもたげた娘は蛇に変わっており、この姿では家に帰れないと告げた。家の者は軽くなった駕籠を担いで帰ったという。以来、赤堀家では重箱の赤飯を沼に浮かべると渦がまいて沈み、空の重箱だけが戻る。十六の娘が赤城へ行くときは、身代わりの蟹を沼に放すという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。