名号が身代わりになった妻
どんな伝承か
長享二年、真盛上人が越前へ下向して武生に引接寺を建て、味真野村池泉の蓮生寺で十七日の説法を行った。粟田部の岡太神社の神主、千日新兵衛の妻もその説法を聴き、神も仏も一体であると諭されて名号を書き与えられた。夫は仏門に傾く妻を邪推し、蓮生寺の椿ヶ原で待ち伏せて一刀のもとに斬り殺し、椿の根方に穴を掘って埋めた。ところが家に帰ると妻がいる。確かめると胸に血がにじみ、名号の南無の字が切れていた。夫婦はともに上人のもとへ参り、弟子となって念仏三昧に生きた。夫は真一、妻は妙一と名を改めたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。