教祖に憑いて死後を語った外天坊の霊
どんな伝承か
多度には日霊会という宗教団体があり、教祖の中西りかは土地で知られた霊能者だった。多度神社の祭神に仕える日霊姫を信仰し、天狗の加納はその禰宜だから、天狗界に入った外天坊こと外川初次郎も祀らねばならないとして、会では外天坊の霊を祀った。教祖の口を借りて語った初次郎の霊は、死の三日前に親様に連れられて良い所を見せられたが、死んでからは暗い穴へ落とされたように感じ、大川や大山や獣に行く手を阻まれて泣き暮らしたという。生前に朝鮮の山で見た恐ろしい獣を思い出して親様にすがり、懺悔すると明るい所へ出され、今は極楽だと語った。
原典より
初めから暗い所へポイと置かれたのが、不足をいえばいうほど、ずんずんと暗い穴の下へ落ちていくような気がした。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。