天狗が授けた一対の面と嘉七の家
どんな伝承か
多度町には、天狗の初さんこと外川初次郎の子息、外川嘉七(六十六歳)が健在で、その家には天狗から授かったという書が数多く伝わっている。なかでも見事なのが、大正年間に下されたという一対の天狗の面である。奈良の名工が彫ったものを天狗が譲り受け、あらためて初さんに与えたのだと伝えられる。暮らし向きの苦しかった初さんが自分で買い求めたとは考えにくく、ここにも天狗との不思議な交わりがうかがえるとされている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。