坂道も軽々と荷車を引く天狗の弟子
どんな伝承か
天狗の弟子といわれた外川初次郎は、桑名の裏殿町に住み、妻いしと一人の子供をつくった。ただ生活は貧しく、荷車ひきをして生活費をかせいでいた。これは相当な重労働であるが、初次郎は坂道でも軽々と引っぱって行くので、目撃した人たちは「やっぱり天狗が後押しをするんだな」と驚異の眼で見たものである。それでも生活は楽ではなく、妻のいしは桑名の鋳物工場で働かねばならなかった。いしは昭和二十六年まで存命だったという。
原典より
これは相当な重労働であるが、坂道でも軽々とひっぱって行くので、目撃した人たちは、「やっぱり天狗が後押しをするんだな」と、驚異の眼で見たものである。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。