地蔵の鼻先に残った刀の痕
どんな伝承か
金沢古蹟志は普門禅師の地蔵応験新記を引く。仏林慧日禅師が北国へ来て勝地を探し、河北郡の山林を歩いて一里余り、長井谷村の茅屋に至った。糸を紡ぐ女が驚いて、夫は山賊で帰れば命が危ういと言い、林の中の地蔵堂に身を隠せと教えた。行ってみると傾いた茅堂に石の地蔵尊があり、対談するうちに日が暮れた。帰った山賊は妻から事情を聞き、堂へ行くと語り合う声が林に響く。実を試そうと暗がりで佩刀を抜いて斬った。翌朝来て見ると禅師は端座しており、地蔵の鼻先に刀の痕があった。山賊は深く詫びて剃髪し弟子となった。伝説ではこの山賊を悪四郎といい、剃髪して至庵と名乗り、のち伝燈寺二世になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第6巻』所収の「文化叙事伝説」全44話(福井・富山・石川=北陸)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。