金石の飴屋に通う冷たい客
どんな伝承か
江戸中期の金石町に、たみという女が住んでいた。身重のまま亡くなり、土葬にされたという。板屋という飴屋では、戸を閉めて休もうとする刻限に、遅く飴を買いに来る女があった。姿の跡は見えないのに、受け取る一文銭がなぜか冷たい。それが一週間ほど続き、ふつりと途絶えたので、主人は不審に思って寺の和尚に相談した。和尚は、近ごろ新しい仏を葬ったところだと言い、真新しい塔婆を掘り上げてみると、赤ん坊が飴をしゃぶりながら元気に泣いていた。子は六代目の和尚に育てられ、のちに七代目の境応和尚となったと語り伝える。
原典より
江戸時代の中期にたみという女の人が住んでおられた。—— 日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。