空腹に襲われるグミンダ峠のダリ仏
どんな伝承か
田口町の大字和市から振草村の大字小林へ越える峠をグミンダという。馬も通えぬほどの難路で、道端に祠が一基あり、これをダリ仏ともダリ神とも呼ぶ。昔、岩茸取りが餓死したのを祀ったものだといい、この峠にさしかかると急に空腹を覚えて動けなくなるのは、その仏に憑かれるためだとされた。そんなときは何でもよいから食物を路傍に供えればよいという。数年前、小林の大山末吉という四十ほどの男が田口町からの帰りにここで倒れたが、祠に供えてあった蜜柑を恵んでくれと言って食べたところ、たちまち元気を取り戻して家へ帰れたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。