笹谷で果てた浄瑠璃姫の悲恋
どんな伝承か
三河矢作の里の兼高長者は、子がないのを嘆いて鳳来寺の薬師如来に参籠し、白い鹿の告げによって女児を授かり、浄瑠璃姫と名づけた。姫は美しく和歌にも琴にも長じた。承安四年、奥州へ下る途中に長者の家へ宿った牛若丸あらため九郎義経が、姫の琴に合わせて母の形見の横笛うすずみを吹き、二人は結ばれる。義経は笛を残して奥州へ発ち、半年たっても来なければ千寿が峰で待てと言い残した。便りの無いまま姫は乳母の冷泉を連れて千寿が峰の麓の笹谷に庵を結んだが、義経が三日前に通ったと聞かされ、望みを失って自ら命を絶ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。