笹谷に残る浄瑠璃御前の石祠
どんな伝承か
愛知県南設楽郡鳳来町(旧長篠村)に伝わる浄瑠璃姫の後日譚。長篠の北山御料林の内、笹谷に流れる渓流のかたわらに苔むした石祠が二基あり、小さい方は侍女の祠だという。伝説によると御前は矢作の里の金高長者の娘で、鳳来寺峰の薬師の申し子であった。十五歳の春に源義経と契り、再会を約して別れたが、奥州に落ちのびた義経からは何の便りもない。月日が過ぎるとともに世を味気なく思い、鳳来寺の麓の笹ヶ谷に庵を結び、侍女の冷泉らとともに尼となって、落ち穂を拾い根芹を摘んで一生を終えたという。今も笹谷には御前の庵址や芹摘み場という地名が残り、祠は明和年間に横山村の人々が建てたものと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。