老婆の顔に似た徳野の姥岩
どんな伝承か
岐阜県大野郡清見村牧ヶ洞(現高山市清見町)の徳野の国道脇に、姥岩という自然石があった。人面相は片眼がつぶれ鼻が欠けた老婆の顔そっくりで、夕方など子供たちは走って通り過ぎたという。昔、山中を歩き回る山姥がいて、機嫌よく里へ出た時は百姓の仕事を男の四、五人分も手伝い、二合ほどの徳利にどれだけでも酒が入ったという。ある年の冬、山姥は病になって三日町の川向こうの川原で死に、村人は憐れんで徳野の山裾の大岩の根元に埋めた。その大岩が風化して山姥の顔に似てきたので姥岩と呼ばれ、泣き顔なら雨、笑えば晴れと伝えられ、祈ると乳がよく出るという口碑もあったが、昭和四十六年の国道改修で削り取られてしまった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。