岩壁に残る雷の爪跡
どんな伝承か
岐阜県益田郡小坂町(現下呂市)の伝説。夏のある暑い日、落合に住む百姓が「くらがり八丁」の畑で働いていると、にわかにかき曇って大夕立となり、物凄い光と音とともに雷が落ちて、百姓の姿が消えてしまった。日暮れになっても戻らないので村人が松明をともして探すと、近くの岩壁に新しく爪で掻きむしったような跡が見つかった。雷が男を抱きかかえて天に昇った時の爪の跡だろうと言い合ったが、翌朝、岩壁の所に来てみると、百姓は無慙にも真っ黒に焼けた死体となって転がっていた。それから、この岩壁に残った爪の跡を「雷の爪跡」と呼ぶようになったという。『岐阜県小坂町誌』に載る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。