多田嘉助が妻と別れた養老坂の石
どんな伝承か
島ノ内村のうち、奈良井川と松本市との間は養老坂の岐路にあたり、その路傍の草叢に縁切石と呼ばれる石がある。これは南安曇の義人・多田嘉助が磔刑に処せられる前月、妻のお民に迷惑をかけまいとの心から、追ってきたお民を強いてここで夫婦の縁を切ったところと言われている。今では嫁入りのとき、この石の傍を通ると必ず離縁になるといって、遠まわりをしても他の道を選んで行く。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。