将軍に供えてから渡した瓜
どんな伝承か
時頼が行脚僧に身をやつして諸国を旅したとき、この里に来て瓜を切る老婆に瓜を所望した。老婆は、差し上げはするがまだ将軍時頼に差し上げる前だからと言い、まず遥かに将軍へその瓜を供えてから時頼に与えた。時頼は非常に喜んでそこを去り、それからこの村では年々大きな瓜がなるようになったという。その後、老婆は鎌倉に出て将軍時頼に目通りし、礼に何でも望むものを与えると言われて、自分の家の前を通る人ごとに銭一文ずつ置かせてほしいと願った。そのとおりになり、以後人々は一文ずつ置いていった。今でも老婆が耕した瓜田が残っているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。