桐畑太夫之縁起が語る天女と泣岩
どんな伝承か
川並の桐畑家に伝わる「桐畑太夫之縁起」。太夫が湖に舟を浮かべて遊んだ日の夕暮れ、虚空から花が降り音楽が聞こえ、異香が薫った。北の浜辺では水中に美女が現れ、傍らの柳の枝には蟬の羽のような薄衣が掛かっていた。太夫がこれを懐に入れたため、羽衣を失った天女は天へ帰れず、やがて夫婦となる。承和十二年八月朔日に男子が生まれたが、虫干しに出した羽衣を見つけた天女は、子を残して天へ昇った。三歳の子は岩の上に捨て置かれ、その泣く声が経文のように響くのを菅山寺の尊元和尚が聞きつけて寺に連れ帰る。岩は泣岩と呼ばれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。