余呉湖の主と桐畑太夫の羽衣
どんな伝承か
『近江伊香郡志』は、池や湖には必ず主がいるという通念を挙げ、余呉湖にも古来一尾の主が伝わると記す。主は大きな緋鯉で、時に黒雲を起こして竜となり天へ昇り、時に美しい女となって湖畔を歩くという。湖辺の漁村川並に桐畑太夫という漁夫がおり、三尺余りの金色の鯉を得たが、路傍に置いて休むうちに消え失せた。かわりに柳の樹上の羽衣を得て持ち帰ると、天女が現れて返してくれと争い、力尽きて太夫の妻となる。乳児をあやす子守唄で衣の在処を知った天女は、藁の下から衣を出して天へ帰った。残された稚児は菅山寺の尊元阿闍梨に育てられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。