七曲がりの玉に糸を通した中将
どんな伝承か
蟻通の明神は、紀貫之の馬が患ったとき、この神の仕業と聞いて歌を詠み奉ったのが趣深いと語られる。名の由来はこうである。昔、四十を過ぎた者を捨てさせる帝がいて、人々は年老いた親を隠した。ある中将は七十近い親二人を家の地下に室を掘って住まわせ、密かに養っていた。唐の帝が難題を送るたび、中将は親の知恵を借りて答えた。まっすぐな木の本末は水に投げ入れて先に行く方を末とし、同じ長さの蛇の雌雄は尾に細枝を寄せて動く方を雌とした。七曲がりの玉に緒を通す難題には、蟻の腰に糸を結び穴の口に蜜を塗って通した。帝は中将を重んじ、老いた親の帰京を許したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第9巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全100話(奈良・大阪・和歌山・三重=近畿南部/紀伊)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。