大島で枕を並べて自刃した七騎
どんな伝承か
慶長十九年の師走はじめ、熊野大辺路街道を南へ急ぐ七騎の武士があった。串本の海岸で火を焚いて相談するうち、深手を負った老武士は自害を申し出るが若者たちが押しとどめる。七人は人目を避けて大島へ渡り、田代のくずの浜の貧しい家に老武士を託し、須江や樫野まで住む土地を探した。ところが大島浦の地頭沖作左衛門が訪れ、串本に騎馬の武士が行き交い舟も動いていると急を告げる。追手が迫ると知った七人は、芝生の上で枕を並べて自刃した。作左衛門は遺骸を葬って自然石を据え、のちに福島正則から太刀と麻裃を贈られたという。塚は鎧塚とも呼ばれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。