偽の声にだまされた雌橋の鬼と一荷岩
どんな伝承か
雌橋を架けた鬼の親分は、五箇の松山から大きな石を子分たちに運ばせていた。あと少しで仕上がるというとき、石をかつぎ上げた子分の耳に橋はもうできたという声が届き、子分はそのまま石を下ろしてしまう。夜が明けて未完成の橋を見た親分は子分を叱ったが、あの声が雄橋の側の者の仕掛けだったと気づいて悔しがったという。松山の道ばたに残る一駄岩は石をかつぐための支えの岩、一荷岩はだまされて下ろした石だと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。