稲を盗んだ重宗山の岩と題目
どんな伝承か
昔、三若の里に稲を盗む者が出て、百姓たちは難儀をしていた。高徳の法師に相談したところ、仏の願力ですぐ捕らえてやるから安心せよという。祈願をしているという評判はたちまち里じゅうに広まり、その夜、もう二度と稲を盗まないから許してほしいと告白しに来た貧しい農民があった。法師は真心から悔いた者も仏は救うと諭して帰した。まもなく、稲を盗んでいたのは重宗山の岩だという噂が立ち、法師は二度と盗まぬようその岩に南無妙法蓮華経を彫らせたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。