漁場荒らしの七人を祀る通津の講
どんな伝承か
岩国市の通津は昔から漁業の盛んな豊かな村であったが、ある年、急に魚が獲れなくなった。漁師たちが見張っていると、漁場を荒らす二艘の船を見つけた。捕らえられた七人は大島の漁師であったが、気の短い通津の漁師によって殺され、みさきに埋められた。ところがこの日を境に、魚はいっそう獲れなくなった。殺された漁師の呪いを払うため、小さな祠を建てて弔ったところ、再びもとのように魚が獲れるようになったという。通津の「七人みさき」という講は、こうして起こったと伝えられる。親条の徳山では、七人のみさきは黒衣を着た坊主七人の姿で日暮れに現れ、見た者は死ぬといわれて恐れられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。