金の砂で富んだ湯蓋道空と塩屋大明神
どんな伝承か
『厳島道芝記』が塩屋大明神について記す。佐伯郡五日市の塩浜に勧請され、後ろの山を海老山という。祭礼は九月十八日で、相殿に湯蓋道空夫婦を祀る。道空はかつて海老山の麓に夫婦で住む貧しい漁師だったが、厳島大明神を深く敬い、毎日供えの魚を捧げた。その誠が至ったのか、あるとき島の沖に蓬莱が浮かび、道空の船は金の砂の中を進んだ。怪しんでその砂を汲み入れてから富み栄え、この所の長となった。家のかたわらに温湯が湧いたので湯蓋の名がある。道空は一生の金銀をもって客人宮を修造したが、後に家が絶えると温泉も絶えたという。住居の跡には今も大きな礎石が残る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。