石と茨を投げ合った権現山と大師山
どんな伝承か
神辺町の旧御野村は、真ん中に平野が広がり、その南に権現山、北に大師山がそびえて向かい合う。もとは権現山が岩だらけの裸山で、大師山の方には茨が生い茂っていた。いつの時代のことか、二つの山は互いを憎んで争いを始める。権現山は北へ石を投げつけ、大師山は茨を投げ返した。おかげで今では立場が入れ替わり、権現山に茨が茂り、大師山が石ばかりの山になったという。この時、権現山が放った巨岩は大師山まで届かず、平野の真ん中に落ちた。その石は田の畔に今も転がっていて、うっかり手を触れると腹が痛みだすため、神として祀られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。