日見村と名づけた海中の大仏
どんな伝承か
『防長風土注進案』大島宰判日見村の縁記によれば、大仏尊は西方浄土の阿弥陀如来である。昔、海中に夜ごと光るものがあり、ある漁人の夢に自分を引き上げよとの告げがあった。海へ出て見ると日輪のように輝くものがあり、引き上げるとこの尊像であった。それでこの郷を日見村と名づけ、人々は奇異の思いをなして拝んだ。尊体には聖武天皇の御代、菅原寺の行基菩薩の作という印証があるという。大同二年、弘法大師の帰朝の折にこの地へ伽藍が建てられ、鎮守が三王権現であるため三王山と称した。昔から、通る船が帆を下ろして礼をしなければ風難がたちまち起こると言い伝え、毎年大晦日の丑の刻には八つの竜灯が上がるとも記す。座像は丈一丈六尺の大像で、今の場所に一宇を建てて安置しているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。