晦日に鶏島から上がる三つの竜灯
どんな伝承か
山口県岩国市に伝わる話では、毎年十二月晦日の夜、鶏島のあたりから小さな提灯のような青赤い光が海上に上がり、空で分かれて鳴渡明神や伊保庄般若寺の竜灯松にかかるといわれてきた。この瀬戸を船で通る際には、海上のことや阿波の鳴門の話をしてはならないという禁忌があった。これは、用明天皇の御代、豊後国の長者の娘・般若御前が奈良の都へ向かう途中、この鳴戸の渦に巻かれて船が転覆したという言い伝えに由来するという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。