一夜植えを阻まれた八百尼の松林
どんな伝承か
五箇村に八百尼という女がいた。都万の屋那へやって来ると、一夜のうちに松をすべて植えきる覚悟で植え付けを続けた。ところが鶏の鳴きまねが上手な男が、ふざけてケケコッコウと声を上げたため、尼は植えるのをやめ、残った松を投げ捨ててしまった。捨てられた松も根づいて育ち、今では二百本を超える松林になっている。大都万の釜尾、西の海岸に広がる松林がそれで、この地は屋那と呼ばれる。八百尼はその後も長く生き、若狭へ渡って死んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。