竜宮の土産を食べた千年比丘尼
どんな伝承か
唐鐘の料理人は魚の屑をいつも海へ流していた。ある日、亀が現れ、日ごろの礼に竜宮へ案内したいという。一日過ごしたつもりで戻ると、地上では三年が過ぎていた。土産に食べてはならぬイオ、すなわち人魚をもらい受け、袂に入れていたが、着替えの折に落としてしまう。それを十八の娘が食べ、以後、娘は年を取らず十八のままの姿でいた。娘は比丘尼となって諸国を巡り、千年比丘尼と呼ばれる。若狭で最期を迎える際、線香を手に穴へ入り、煙の立つ間は生きていると言い残した。都野津にも立ち寄り、朝日と夕日の当たる所に黄金千両が埋まっていると告げたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。