頼朝が授けた竜島の七つの姓
どんな伝承か
石橋山の戦いに敗れた源頼朝は房州へ逃れ、鋸南町の竜島に上陸して神明社に宿った。ある村人がこの社で、房総の将兵が左右から加わって頼朝を助けるようにと祈ったので、頼朝は喜んで左右加の姓を与えたという。別の伝えでは、天下を取ったら礼に安房一国をやろうと言われた村人が、それを粟一石と取り違え、粟なら家にもあるから姓が欲しいと答えた。あきれた頼朝がばかな奴だとつぶやくと、村人は二種の姓を賜ったと早合点し、左右加と馬賀を名乗ったとも語られる。竜島には松山・菊間・柴本・中山・久保田・鰭崎・生貝の七姓が、頼朝から賜ったものとして伝わっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。