家康を助けた漁師と内海の姓
どんな伝承か
葛西あたりの漁師で次郎左衛門という者が、不漁のまま姉崎の沖まで来てしまった。岸を見ると侍らしい人たちが舟を寄せろと合図している。近づくと彼らは飛び乗って沖へ出せという。話を聞くうち、その頭が徳川家康だと分かった。お忍びで上総へ来たが、怪しい者につけ狙われて逃れてきたのだという。次郎左衛門は江戸まで送り届けた。家康は望みの褒美を与えようとしたが、困った人を助けるのは当たり前だと辞退し、内海を取らそうという申し出も断った。そこで、その内海に因んで「内海」の姓を名乗ることを許され、葵紋入りの杖と草履とかわらけを贈られたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。