牛車が止まった境木の石地蔵
どんな伝承か
武蔵と相模の境、保土ヶ谷の境木に地蔵堂があり、五尺ほどの石地蔵が安置されている。この地蔵は昔、海から由比ヶ浜へ打ち上げられ、大水で再び流されたのち、何十年かして腰越の浜に寄った。漁師の夢に地蔵が現れ、江戸へ行きたいので牛車で運び、車が止まった所に置けと告げた。腰越の者が引いてくると境木で車が動かなくなり、そこへ据えた。堂を建てると境木は賑わい、江戸に講ができ、脚気に霊験があるといわれた。夜盗が来ると大入道が現れて追い払ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。