お宮弁天となった見沼小町
どんな伝承か
大宮宿を開いた新右ェ門の名にちなむ新右ェ門新田では、弁天が鎮守としてまつられている。新右ェ門の娘お宮は見沼小町と呼ばれる器量よしで、真蔵という若者と将来を誓っていた。ところが風邪をこじらせて床につき、余命は三日だと真蔵に打ち明ける。自分に縁談を持ちかけた使いのなかに見沼の竜神がおり、二人の仲を妬んで毒気を浴びせられたのだという。言葉どおり娘は世を去った。嘆いた真蔵は髪を落として旅に出、喜捨で弁天像を彫り、お宮弁天と名づけて霊を弔った。以後は社のかたわらに庵を結び、生涯を供養に費やしたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。