釣人を死なせた見沼の大蛇と蛇枕
どんな伝承か
見沼には主の大蛇が棲むといわれた。ある里人が岸に横たわる大木に腰をおろして釣り糸を垂れていると、その木がむくむくと動きだした。大木と見えたのは大蛇で、男は驚きのあまり息絶えた。人々が骸を見つけたとき、まわりには蛇枕という草が一面に咲いていたという。この草は黄の花をつけ、真っ赤な実を結ぶ。大蛇が好んで枕にするのでその名があり、また大蛇のいびきの毒気を吸って育つため、実には毒があって口にすれば命を落とすといわれ、里人は手を触れることさえ避けたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。