朝茶を朝蛇と聞き違えた大蛇
どんな伝承か
神庭の耕地に、老爺が一人きりで暮らしていた。ある朝、三峰山の原生林に棲む大蛇がやって来て、この老人を丸呑みにしようと戸袋の陰から中の様子をうかがっていた。老爺はいつものように湯を沸かし、今朝も朝茶でも飲もうか、と独りごとを漏らした。外で聞いた大蛇はこれを朝蛇と取り違え、毎朝のように蛇を呑む恐ろしい相手に違いないと怯えて、一目散に逃げ帰ったという。以来、朝茶は縁起のよいものとして誰もが飲むようになり、朝茶は難をのがれるとも言われるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。