身投げの娘の名を負うお房淵の山蜘蛛
どんな伝承か
津金の玄太山の裏手に、大門川の淵があってお房淵と呼ばれる。昔からこの淵では多くの人が命を落としており、八十年ほど前にはお房という娘が身を投げて死んだ。淵の名はそれに由来し、主は大きな蜘蛛だといわれてきた。あるとき長沢の者がこの淵の近くへ草刈りに行き、馬をつないで刈り始めると、大きな山蜘蛛が足もとに来ては糸をつけ、淵の方へ下りていく。不審に思って糸をつつじの藪に付け替えると、まもなく藪が音を立てて淵へ引かれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。