枝が上を向くこき上げの竹
どんな伝承か
小室へ通じる県道は、土録の入口あたりで畔沢川を二度渡る。手前の橋を一の橋、先の橋を二の橋と呼び、その間の道沿いに竹やぶがある。二の橋寄りの竹は、使い古した箒を逆さに立てたように枝先がどれも上を向いており、里の人はこれをこき上げの竹と呼んできた。伝えによれば、日蓮が善智法印を訪ねて小室へ来たとき、大雪で竹が垂れ下がり道をふさいでいた。土地の者も難儀するだろうと、聖人が杖で一本ずつ枝を払ってやったところ、以後この竹は枝を上に向けて生えるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。