子どもの答えに詰まった西行
どんな伝承か
西行法師が糸島郡前原町を通りかかり、路傍の石に腰かけて雷山を眺めていた。その秀麗な姿に心をひかれ一首詠もうと苦吟していると、鎌を手に籠を背負った子どもが通りかかり、旅の僧にどこへ行くのかと尋ねた。西行が問い返すと、子どもは「冬しげる夏枯れ草の根を刈りに行く」と答えた。その答えがそのまま歌の句のように響き、名歌人の西行もどうにも付けることができず、とうとう雷山に登らないまま引き返したと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。