温かい石を授けた児授け地蔵
どんな伝承か
崇徳天皇のころ、筑前国御笠郡の苅萱庄に屋敷を構えていた博多の守護職加藤左衛門尉繁昌は、四十になっても世継ぎがなかった。思いあまって香椎宮に籠って祈ると、十七日目の満願の暁に、石堂口の川べりの地蔵尊から丸く温かい石をもらって妻に与えよとの告げがあった。行ってみると地蔵の左手に丸い石があって光を放ち、手に取ると確かに温かい。持ち帰って妻に与えると程なく身ごもり、翌年の正月に男の子が生まれた。繁昌は喜んで石堂丸と名づけ、人はこの地蔵を児授け地蔵尊と崇めたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。