小判を三十六駄積んだ炭焼
どんな伝承か
旧東松浦郡厳木町の笠木には、占いを聞いて炭焼のもとへ嫁いできた江戸の女の話が伝わる。嫁は炭焼に小判を渡して買物にやらせたが、炭焼は鴨に投げつけて小判を失った。責められた炭焼が、そんな物なら炭焼釜にいくらでもあると言うので見に行くと、山のようにあった。小判をカマスに詰めて馬に積むと三十六台になり、炭焼は江戸へ出て住友と名乗ったという。馬に小判を乗せた場所を三六と呼ぶと語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。